『「公認会計士YouTuberくろい」の中の人!白井敬祐先生ってどんな人!?』~「会計をもっと楽しく」する会計士の仕事観とは~
今回は会計士の皆さんならご存知の「公認会計士YouTuberくろいちゃんねる」や今、会計士を目指す方の予備校で合格者数No.1のCPA会計学院で講師として、第一線でご活躍されている白井敬祐さまにお話を伺いました。若手会計士の皆様に向けて白井さんの半生やキャリアについて、若手当時に白井さんがどのようにお考えになって、どう行動をされたか等、貴重なお話を伺うことが出来ました。特にダイバシティ―の現代に対応していけるような、様々な可能性にチャレンジをしたい!とお考えの方には非常に参考となるインタビューになっています。是非、最後までご覧ください。
プロフィール公認会計士 白井敬祐 氏
・白井敬祐公認会計士事務所 代表
・CPA会計学院 講師
・「公認会計士YouTuberくろいちゃんねる」くろいさんの中の人
<略歴>
- 1985年
香川県に生まれる - 2008年3月
岡山大学経済学部卒業。 - 2010年3月
明治大学大学院会計専門職研究科卒業。 - 2011年11月
公認会計士試験論文式試験合格。 - 2012年1月
清和監査法人入所。(以下「清和」)主に中小企業クライアントへの監査業務に従事。 - 2014年3月
新日本有限責任監査法人入所。(以下「EY」)主にIFRSアドバイザリー業務や研修講師業務に従事。 - 2015年5月
公認会計士登録。 - 2016年1月
有限責任監査法人トーマツ入所。(以下「トーマツ」)主にIFRSアドバイザリー業務や研修講師業務に従事。 - 2018年9月
株式会社リクルートホールディングス入社。(以下「リクルート」)連結経理業務や開示作成業務に従事。 - 2020年1月
公認会計士YouTuberくろいちゃんねる開設。 - 2021年7月
白井敬祐公認会計士事務所開業。CPA会計学院講師
INDEX
なぜ会計士を目指そうと考えたのか
白井氏-
会計士を目指そうと思ったのは大学3年生の後半あたりでした。その時期は就活真っ只中だったのですが、私は当時、何か「絶対これになる!」や「自分はこれが得意だ!」という事もなく途方に暮れていました(笑)。
当時の私は、本当に人と目を合わせて喋ることもできないような少年だったように思います。学生なりにこのまま自分は社会に出ても何も出来ない大人になって底辺の生活を送るようになるのだろうかと暗い日々で、かなり悩んでいました。そんな時に、たまたま私が入っていた岡山大学の経済学部の会計のゼミの先生がこんなことをおっしゃっていました。
「この世の中で勉強が仕事に直結する仕事が3つある。それは医者と弁護士と会計士なんだよ。」っていうお話をされていて、これだ!と感じました。僕はコミュニケーションとかは全然できなかったし、せめて勉強だけなら頑張ってみようと思い決心しました。
編集者- 学生時代は大人しかったのですね!今の白井さんからは想像もできないです(笑)!でもやはりエリート。お勉強は若いころから成績優秀でいらっしゃったのですか?
白井氏-
若いころの私を知らない方からはよく言われます(笑)勉強の方も特別優秀だったわけではなく、卒業してから「ちょっと就活は保留させてほしい」と両親に頼み込んで、上京し明治大学の大学院に2年間通い、会計の勉強をさせて貰いました。
しかもそのままストレート合格はできずに、もう一度親に土下座してあと1年だけ頑張らせてほしいとお願いして、やっと翌年合格することができました。
編集者- そうだったのですね。いやぁ、3年のお勉強期間で合格されるのは十分素晴らしいことですよ!ご両親に土下座してまで頑張られたというモチベーションもまたすごいと思ったのですが、そのエネルギーはどこから湧いてくるのですか?
白井氏- ありがとうございます。それはもうシンプルで、 ①せっかく上京したのに何の成果もあげられず負け犬のように地元に帰るのは嫌だ ②学生時代の取柄のない底辺の様な自分から生まれ変わりたかった です!もうあの頃は「なにくそ精神」でとにかく勉強しましたね。
編集者-
(笑)(笑)(笑)
学生時代、大人しいとはおっしゃられつつも、今の熱い白井さんに通ずるハングリー精神という才能はお持ちだったのですね!(笑)
監査法人在籍時に描いていたキャリア
編集者- 最初は清和監査法人さんにご入社されたのでしたね!どういうきっかけで清和さんをお選びになったのですか?
白井氏- 僕がちょうど合格した2011年、正に就職氷河期でした。Big4ですら採用に消極的な時代背景の中、僕は受かった時すでに25・26歳くらいだったので、苦労して会計士試験に合格したのに、書類選考すら通らないこともざらでした。その上でコミュニケーション能力の低さもあり、拾ってくださったのは清和さんだけでした。
編集者- そうでしたかぁ。かなりご苦労された20代を経験されてきたのですね。
白井氏- もう20代30代ずっと苦労してました(笑)
編集者- 頭があがりません。その後、EYさんやトーマツさんもご経験されていらっしゃって、こんなにも監査法人を広くご経験されている方も多くないですが、当時のお考えなどお聞きしてもいいですか?
白井氏-
はい、もちろんです!清和さんには2年ちょっとお世話になったのですけど、当時はまだまだ若く、弱点であるコミュニケーション能力の低さが克服できずに、徐々にしんどくなってしまったというのが正直なところです。
若造なので知らない事だらけなのに、クライアントに素直に聞く勇気が出ず、知ったかぶりをしたりして。天狗になっていた部分もあったのかもしれません。でもクライアントの方が年上の方ばかりだったので、そういうのは見透かされますし、怒られますよね。そんな恥ずかしい2年間でした。
そんな中、徐々に景気も上向きになってきてBig4も採用を強化し始めたという話も聞き、転職を意識しだしました。
EYさんにお話を聞きにいったらIFRS導入のコンサルの仕事をすすめて頂いて。コンサルタントって「お客さんの困ってることを解消する」っていうイメージがあって、それならお客さんに直接感謝してもらえるかな。という考えとコミュニケーション能力の低さを克服したいという気持ちもあり、挑戦してみました。
それがやってみたら意外とすごく面白かったんですよ!お客さんと二人三脚で問題解決をする為なら、監査の時には苦手だった事実確認が、先生気取りではなく素直に聞けるようになり、クライアントからも可愛がられるようになりました。そうなってくると、単純なものでクライアントの為に勉強も頑張りましたし、自分に合ってるなっていう感じがあって、すごく楽しい2年間でした。
編集者- そうだったのですね!その辺りから今のお話上手な白井さんの基盤が出来てきたのですね!自分の苦手なフィールドにあえて挑戦することも大事ですね。その後トーマツさんにはどんなご縁だったのですか?
白井氏-
その通りです。自分では苦手(短所)と思い込んでいても、実際は違っていることもあります。良くありがちですが、EYさんで2年ぐらい経って、修了考査に受かった時に次のキャリアを意識するようになりました。
このタイミングで外の世界も知っておこうと思い、転職エージェントに登録したところ、より私を評価してくれる監査法人がトーマツだったので、そのこともありトーマツに転職することになりました。
編集者- なるほどですね!仕事に実力と自信が付いてくると待遇面含め評価も気になるのは当然のことですよね!
監査法人から経理業務に転職しようと考えたきっかけ
編集者- 白井さんといえば「会計を楽しく!」でお馴染みの経理業務に関わる著書(※)も出版されていらっしゃいますが、その後どのような経緯で経理にお進みになられたのですか?
(※)『経理になった君たちへ』 白井 敬祐 (著) 出版社:税務研究会出版局
白井氏-
ありがとうございます!IFRSアドバイザリー業務はEYと併せると4年近く経験させて頂き、ある程度一人でこなせるようになり、自分の成長が止まってしまったと感じたことがきっかけでした。
上司にも相談したところ、ちょうどリクルートへの出向の案件がありまして、すごく面白そうだし、今までコンサルとして接していたクライアント内部の立場から経験できるチャンスだと思いチャレンジしました!
編集者- そうだったんですね!それもまたご縁とタイミングですよね。しかし、勇気をだして上司の方に相談をしなかったら打診されなかったかも知れないので、チャンスをしっかり掴み取るには行動する事と周りとのコミュニケーションが大事ですね。
白井氏- おっしゃる通りです。自分から行動を起こさないと監査法人にずっと在籍し続けてチャンスを逃してしまう方も中にはいると思います。パートナーを目指すキャリアも、もちろん否定はしませんけどね!
編集者- なるほどですね。実際コンサルから経理に挑戦してどうでしたか?
白井氏-
面白かったです!今までコンサルをする立場から、コンサルを受ける立場になるわけですが、「こういう方向からくるんだ。自分ならこうだったな。」とか両方経験している自分だからこそ、どちら視点からも捉える事が出来るので学ぶ事が多かったです!
その後1年半くらいで出向期間が終わりトーマツに戻るというところで、もう少し経理を経験したいという気持ちがあり、その後、実はもう一社大手企業で経理を経験しています。でもたったの3か月で辞めてしましました(笑)
編集者- そうだったんですね!何があったのですか?
白井氏-
給料の良さだけで選んでしまった僕が世間知らずでお恥ずかしいですが、それがもうブラック企業で。ひたすら朝から深夜まで書類作成マシーンの様な生活になってしまい、心身を壊してしまいました。
リクルートに居た時は自分の意見を持たないと怒られる文化があって、そこが気に入っていたのですが、こちらの企業はむしろ意見を持たずに作業だけを求められ、自分には合わなかったです。
編集者- 白井さんは若くして大変なご苦労をされていらっしゃったのですね。転職の失敗もご経験されて改めて今どのようにお考えになられますか?
白井氏-
転職する時に大事なのは「やりがい・お金・プライベート」のバランスだと僕は思います。どれか一つが突出しているだけでは限界がやがて来ますので、自分にとっての最善のバランスをまずは自覚して、その上で実現できる環境を選ぶことが大事ですね。本当に(笑)
僕みたいにお金に釣られちゃだめですよ(笑)もし自分のキャリア実績に対して相場より高すぎる給与を打診されたら、まず疑って、エージェントさんとかに相談してみてください。
ユーチューバーとして活動しようと思ったきっかけ
白井氏-
その当時YouTubeって会計士で参画している人はまだあまり居なかったと記憶しています。意識し出したのはリクルートで3年目を迎えたころでした。そのくらいになると仕事にも慣れて、何か新しい事に挑戦したいという気持ちが芽生えてきます。
振り返るとEY・トーマツ時代にコンサルとして、プレゼンをする日々はやりがいもあって充実していたなぁというのがありました。20代前半のインプットばかり得意で、アウトプットが全く出来なかったコミュ障の僕が変われた大きなきっかけだったということもあり、経理業務だと決算発表くらいしかプレゼンをする機会はないので、プレゼンができる副業を考えるようになりました。
編集者- そうでしたか!素晴らしすぎる成長意欲です!見習わせて頂きます!
白井氏-
いえいえ。その後、研修講師の面接を受けてみたのですが、これがなかなか通らずで苦労しました(笑)そんな中、たまたま疲れて立ち寄った整骨院の方とのお話の中で、税理士YouTuberの方の話になり、当時僕はYouTubeとかあまり見る方でなかったのですが、試しに見てみたら...すごく面白い!「こういう世界があるんだ!」と衝撃を受けました。
どこも雇ってくれないなら、これを自分でやってしまえばいい!というのが公認会計士YouTuberくろいちゃんねるの原点です。
現職の仕事内容と魅力・やりがい
白井氏- 今は、自分で立ち上げた会計士事務所の代表をしながら、CPA学院で講師、そしてYouTuberとして活動しています。あと本を書いたりもしてます。
(※)『経理になった君たちへ』 白井 敬祐 (著) 出版社:税務研究会出版局
編集者- 三足の草鞋で多才ですよね!そしてそれぞれが個性的なキャリア!実際お勤めされていた頃と比べて、独立された今はいかがですか?
白井氏-
ありがとうございます(笑)そこについては、独立したことに一切の後悔はないですし、やって良かったなと実感する日々です。もちろん辛い瞬間もありますけどね(笑)例えば、YouTubeでは最初はスマホのカメラで撮影するところから始まり、機材も何を揃えたらいいかもわからないレベルから手探りで全て自分で編集までやっていました。
初期はリクルートに勤めながらの副業だったので、仕事が終わってから撮影・編集を始めて、徹夜することもしばしば...(笑)もう毎日24時間常に動画投稿のネタにアンテナを張り続ける生活です。
そんな実情もありYouTubeはだいたいの方が参入しても3か月前後で諦めてしまう現実があるのですが、継続は力なりで今は会計士というニッチな領域にも関わらず2.6万人以上の皆様に登録頂けるチャンネルに成長していて有難い限りです。このYouTubeをきっかけにお仕事のお話を頂くことも増えてきました。
※チャンネル登録と高評価よろしくね!⇒公認会計士YouTuberくろいちゃんねる
編集者- そうだったのですね。会計士さんって保守的な方が多い印象で、白井さんの未知の世界に飛び込む勇気とバイタリティは本当に素晴らしいですよね。
白井氏-
ありがとうございます。リクルートに居た時、漠然と将来のキャリアについて考えた時に、会計士として差別化できるスキルや強みがないとこの先、生き残っていけないなと感じた事が、頑張らなければいけないという一つの決心になった部分はありますね。
もちろん会計士として監査や会計まわりのスキルを誰よりも極めていくキャリアもあって良いと思います。監査法人でパートナーを目指す事も尊い事です。でも私は性格的にそのような将来は想像も出来なかったので、だったら「自分にしか出来ない事を自分でつくればいい」(笑)というのが僕の持論です。
編集者- 素敵なお考えですね。そしてそれを本当にやりきる精神力と行動力!本当に素敵です。ご自身の会計士事務所やCPA学院さんの講師業はいかがですか?
白井氏-
ありがとうございます!会計事務所の方も、想定していたよりも順調にご愛顧頂いていて、収入も会社勤めの頃とは比べ物にならないですし、講師としても様々な方と直接コミュニケーションが取れて、自分が誰かの役に立っている実感を感じられるというか、自分の仕事で喜んで貰えて感謝して貰えるというのが、この上なく僕のモチベーションになっています!
あとは最近だと僕のYouTubeをきっかけに会計士になりました!という方からメッセージ頂く事もあり、本当にやる時は多少無理してでもがむしゃらにやってきて良かったと、日々充実しています。
編集者- 白井さまにとって、クライアントから喜んで貰って、自分のサービスが役に立っていると実感できる瞬間がやりがいなのですね!この記事を読んでくださる皆さんも自分にとっての仕事のやりがいとは何かぜひ一緒に考えてみて頂くと、今後のキャリア形成のヒントになりそうですね!
※会計士UPへサインを頂きました!「行動あるのみ!」面談にお越し頂いたらお見せします!(笑)
キャリアに悩む会計士に応援メッセージ
白井氏-
やっぱり会計士は国家三大資格の一つですから多少失敗したって食いっぱぐれることはありませんので、まずは何事も挑戦してみて欲しいです。
でもそれは行動してみないと絶対に気づけない事なので、失敗したってむしろそれを糧にして突き進む!これが大事です。行動あるのみ!またチャンスやきっかけはどこに転がっているかは本当にわからないので、行動していないとそのチャンスを掴み取る事も出来ないですしね。そうして自分のやりたい事を見つけて欲しいです。自分の使命は他人から与えられるものじゃありませんから、自分で見つけるしかない。将来10年後の自分の理想像っていうのを思い浮かべて、それに向けて行動するのみ!です。
人見知りでコミュニケーションが苦手だった僕が講師業やYouTuberをしているくらいですから、自分が自覚している弱みが必ずしも弱みじゃないかも知れません。
編集者-
貴重なお話本当にありがとうございました。その通りですね。リスク管理ももちろん大事ですが、自分が大切だと思える事には多少のリスクをとっても行動してみる勇気も必要ですよね。また、ただ悩んでいても煮詰まる一方で、実際に行動してみると思いがけないきっかけで好転することもありますよね。
今回のインタビューは、わたくしもくろいさんの動画のオフィスツアーのようなノリで辛口でいじり倒して頂く事を覚悟していたのですが(笑)紳士で頑張り屋さんのくろいさんのファンになってしまいました!(笑)くろいさんが広く親しまれて愛される理由がよくわかりました。会計士UPも一ファンとして、白井敬祐さん・公認会計士YouTuberくろいさんの益々のご活躍を応援しております!本日は大変ありがとうございました!
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プロフィール
白井 敬祐 氏 (公認会計士)
白井敬祐公認会計士事務所 代表
CPA会計学院 講師
「公認会計士YouTuberくろいちゃんねる」くろいさんの中の人